はじめに|CMSは「全部使う」が正解ではない
Webサイト制作において、CMS(コンテンツ管理システム)は非常に便利なツールです。
そのため、「せっかくCMSを導入するなら、すべて更新できるようにしたい」と考えるケースは少なくありません。
しかし実務では、すべてをCMS化することが必ずしも最適とは限りません。
むしろ、CMSを使いすぎたことによって、運用しづらくなってしまうケースも多く見てきました。
本記事では、CMSをどこまで使うべきかについて、制作現場の視点から整理します。
よくある失敗|全部CMS化してしまう
更新できる=良いという誤解
「自分で更新できる方が良い」という考え自体は間違っていません。
ただし、その考えをそのまま適用してしまうと、
- すべてのテキストを編集可能にする
- レイアウトまで変更できるようにする
という設計になりがちです。
結果として起きる問題
一見便利に見えるこの設計ですが、実際には以下のような問題が起きやすくなります。
- 管理画面が複雑になる
- 更新ミスが増える
- デザインが崩れる
- 更新自体が止まる
結果として、「更新できるようにしたはずなのに、更新されない」という状況になることも少なくありません。
コストの視点も重要
CMSの設計を考える際には、運用効率だけでなくコストの視点も重要です。
例えばmicroCMSは、プランによって管理できる項目の数に制限があります。
CMS化する範囲が増えるほど必要となる管理項目も増えるため、全てをCMSで管理しようとすると上位プランの契約が必要になり、月額の利用料金が高騰する場合があります。
そのため、どこまでCMS化するかを踏まえて、運用コストとバランスを取る必要があります。
CMSは「便利だから使う」のではなく、運用効率とコストの両面から設計することが重要です。
※microCMSの最新料金プランは公式サイトをご確認ください。
実際の案件ではどう判断するのか
実際にある案件で、「できるだけ多くの部分をCMSで管理して更新したい」というご要望をいただいたことがあります。
しかし、更新頻度、運用体制、コストなどを総合的に検討した結果、CMS化する範囲を絞るご提案をしました。
すべてを更新可能にすることも技術的には可能ですが、管理画面が複雑になり、かえって運用の負担が増える可能性があります。
結果として、必要な部分だけを更新できる設計とすることで、無理なく運用できる形に落ち着きました。
CMSは「制限する」ことで価値が出る
ここが重要なポイントです。
更新できる範囲を設計する
CMSは「何でもできるツール」ではなく、「どこまで更新させるかを設計するツール」です。
そのため、
- 更新させる部分
- 更新させない部分
を明確に分ける必要があります。
更新しない部分は固定する
例えば、次のような部分は頻繁に変更されるものではありません。
- キャッチコピー
- コンセプト
- ページ構成や導線
こうした部分までCMS化してしまうと、意図しない変更によって、サイト全体のバランスが崩れるリスクがあります。
CMSは「必要な部分だけ」に使う
CMSは、必要な部分だけに使うことで価値を発揮します。
CMSは「何でもできるようにする」のではなく、「必要なことだけできるようにする」ことが重要です。
実務での判断基準
では、実際にどのように判断するのがいいのでしょうか。
CMS化するべき部分
- お知らせやブログ
- 一部のテキスト(料金・メニューなど)
- 更新頻度があるコンテンツ
CMS化しない方がいい部分
- トップページの構成
- コンセプトやキャッチコピー
- 導線設計に関わる部分
「変更される前提かどうか」で判断するのが基本です。
実際の制作事例
mahana|CMS範囲を限定した設計
埼玉県羽生市のエステサロン「mahana」のサイトでは、CMSの範囲をあえて限定しています。
- ブログ投稿
- 一部のテキスト更新
のみに絞ることで、
- 管理画面がシンプル
- 更新ミスが起きにくい
- 運用が継続しやすい
という状態を実現しています。
結果として、オーナー一人の運用体制でも無理なく発信が続いており、CMSを絞ったことがプラスに働いています。

koyomi yoga pilates|CMSを使わないという選択
一方で、埼玉県所沢市のヨガ・ピラティススタジオ「koyomi yoga pilates」のサイトではCMS自体を導入していません。
- 更新頻度が低い
- 構成がシンプル
- スモールスタート前提
という条件から、CMSを使わない設計としています。
価格改定やサービス追加の際には、その都度改修対応を行っていますが、クライアントは不便を感じていないようです。
むしろ、Webのことは専門家に任せることで、本来の業務に集中できるというメリットを感じているようです。
クライアントが自由に更新できることが、必ずしも最適な運用とは限りません。

では、どう設計するか?
最初に決めるべきこと
CMS設計をする前に、以下を明確にする必要があります。
- 誰が更新するのか
- どのくらいの頻度で更新するのか
- 何を更新するのか
それに合わせてCMSを選ぶ
これらを踏まえて、
- WordPress
- microCMS
- CMSを使わない
を選択します。
CMSありきで考えるのではなく、運用から逆算して設計することが重要です。
まとめ|CMSは「自由にする」ではなく「整える」ためのもの
CMSは非常に便利なツールですが、使い方を誤ると運用の負担を増やしてしまいます。
重要なのは、「どこまで自由にするか」ではなく、 「どこまで制限するか」を設計することです。
CMSはあくまで手段であり、サイトの成果を左右するのは設計や構成です。
CMSの範囲設計や更新方法についてのご相談も承っています。
「どこまで自分で更新できるようにするべきか」というご相談でもかまいません。
お気軽にご相談ください。
ホームページの制作やリニューアル
サイト構成やCMS選定についてのご相談を承っています。
「WordPressが良いのか、Astroが良いのか」というご相談からでも問題ありません。
目的や運用体制に応じて、最適な構成をご提案します。
